2013年11月1日金曜日

エクアドルにおける地域の教育の今      ー急激な変化の中で

2007年に発足したコレア政権ですが、その大きな政策の一つに教育改革が挙げられていました。政権は2008年に憲法を公布し、教育法を作り、公教育の無償化を実行し、それまでの政府が実質的には無視してきた改革をおこなってきています。
政権の発足以来、人々はその政策の実効性を実感し、期待を寄せると同時に急激な変化に対する不安も感じているのが実情です。
SANEも注意深く成り行きを見ています。9月の奨学生の手紙の中に次のような内容がありました。

『僕たちの学校は、ほかのもっと大きな学校と共同で使うようになって、もうすぐサンパブロの全ての学校を統合して、ミレニアム高校と呼ばれる学校になります。これによって僕たちの高校は生徒数がとても多い、オタバロで最も大きな学校になります。』

この生徒はカヤンベの隣のオタバロに住んでいるのですが特別にSANE(SOJAE)の奨学生になっています。彼の住むオタバロは世界的に有名な先住民地域です。
実は、この学校統合の動きがカヤンベでも(エクアドル全土で!)急激に進んでいます。すでにカヤンベでもピタナ・バホという学校は廃校になってしまい、子どもたちが遠くの大きな学校に通い始めました。

これまでエクアドルの周辺地域では、小学校は原則的に村(comunidad)に1校ありました。小さな村が多いために複式学級や、教師が1人しかいない学校がたくさんあり、それゆえの問題もたくさんありました。たとえば、すぐ近くにありながら、村が違うために学校がそれぞれにあって小規模になり、非効率的な学校配置になってしまっているところもありました。ですから、どこにどの規模の学校を置くのかということは確かに考え直す必要はあったと思います。

けれども、周辺地域の村々にとって学校の存在は地域の中心的な役割を果たすという側面もあります。特に先住民地域にとっては、自分の地域の学校に、実情を知るその地域出身の教員を迎えることは意味のあることでした。地域人々の努力で学校の充実に励んできた歴史もあります。給食も保護者の努力によって、地域で採れる野菜などを使って手作りの食事が提供されている学校も多くありました。ところが、今はこういった給食は廃止され、政府から配られるシリアルバーと栄養ジュースのような画一的な内容になっています。

こうした動きは急激に進んでいます。そしてそれは地域のつながりを弱め、その文化や言語が消えていく危険性を伴った動きでもあります。SANE・SOJAEは今後の動きを注意深く観察し、どのように手立てを打って行けばよいのか、人々と共に考えていかなくてはならないと考えています。





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